【成功例解体】の4人目。今回はマコなり社長。
60本ぶんの発信を索引にして、一番引っかかった回から読んだ。結論から言うと、この人のいちばん学べる回は、仕事術の回じゃなかった。「日本で信用してはいけない職業10選」という、いちばん燃えそうなタイトルの回だった。
理由は単純で、その10位が「社長系YouTuber」つまり自分自身だったから。
何をやっている人か(事実だけ)
大学在学中に起業して、プログラミング教育の事業を立ち上げた人。その事業が軌道に乗ってからYouTubeを始めている。発信のテーマは仕事術・生活・買ってよかったもの。有料の月額マガジンも持っている。
※両学長も、稼ぎ方じゃない回が効いた。:両学長の動画を見て、いちばん効いたのは「稼ぎ方」じゃなかった
※「成功例解体」シリーズの前の記事で、同じように学んだ回だ。:サラタメさんが「撤退します」と言った回が、いちばん勉強になった
つまり発信が本業ではない。ここが後で効いてくる。
この回で何をやっていたか
「日本で信用してはいけない職業トップ10」を挙げていく。自由診療のカウンセラー、タクシーの運転手、医者、葬儀の営業、コンサルタント、家事代行、転職エージェント、学校の先生、金融・不動産・保険の営業、そして社長系YouTuber。
タイトルだけ見ると、人を殴りに行く企画に見える。でも中身は逆だった。
構造に分解する
① 最初に逃げ道を塞いでいる
本編に入る前に、こう宣言している。
私は特定の職業についている人を悪者にしたいわけではありません。社会のルールを守っている限り、良い職業・悪い職業を決められる人なんていません。
そのうえで、この回で言いたいことを一行に畳んでいる。
相手がその分野のプロだと思っていても、完全に信じて任せてしまうと痛い目を見る。
「この職業はダメ」ではなく「任せきりがダメ」に論点をずらしてある。 ここを最初に置いたから、10個ぜんぶが職業攻撃ではなく自衛の話として読める。
② 敵を「人」ではなく「構造」に置いている
いちばん分かりやすかったのが転職エージェントの項目だった。
エージェントは企業から報酬をもらう。求職者からはもらわない。だから構造上、求職者の利益を第一にはできない。ただし適当に押し込むと早期退職で返金になるので、雑にもできない。
そのうえでこう言っている。
これは悪人は誰もいなくて、構造上仕方がないこと。
誰かのせいにすると、読んだ側は「その人を避ければいい」と思って終わる。構造のせいにすると、自分の側で防ぐ話になる。 同じ事実を出しても、着地が真逆になる。
③ 最後に自分を並べている
10位が「社長系YouTuber」で、本人が自分の怪しさを自分で解剖している。
- うまくいってる社長ならYouTubeなんてやる必要ないのでは、というツッコミに自分で答えている(答えは「伸び始めの時期は社長が暇になるから」)
- 発信者の権威づけが曖昧なこと、いつの話か分からない数字が使われることに触れている
- 高額なバックエンド商品を売る構造についても、必ずしも悪ではないが、そういう構造だと知っておけという置き方をしている
そして締めがこれ。
私の言うことを鵜呑みにしてはだめです。
うさん臭いという気持ちは忘れないでください。ぜひ疑ってください。
自分の発信を、自分で「疑え」と言って終わっている。
この回で一番使える武器
構造の話とは別に、そのまま持ち帰れる具体が1つあった。抽象語で売られたときの返し方。
視力矯正の手術を受けたときの話として、こういう場面が出てくる。手術直前のカウンセリングで、上位グレードの機械と追加オプションを勧められる。理由は「リスクを下げられますよ」。
これから目にレーザーを当てる直前で、断りにくい。断りにくいタイミングで、断りにくい言葉が来る。
そこで本人が何を聞いたか。
リスクという抽象的な言葉では判断できません。
そのうえで、グレードを1つ下げると具体的にどれだけリスクが上がるのか、上位機だとどれだけ下がるのか、定量的に説明してほしい、と詰めている。結果その場では決めず、医師と直接話すことになり、医師からは下のプランで問題ないと言われて、勧められた案よりはっきり安く済んでいる。
ここで大事なのは「安く済んだ」ことじゃない。
「リスク」「安心」「万が一」は、数字を出さずに値段を上げられる言葉だということ。 そしてこの手の言葉は、こちらが一番断りにくいタイミングで出てくる。決まって出てくる。
だから返し方は1つでいい。それは具体的にどのくらいですか。
数字が返ってこないなら、それは判断材料ではなく、売り文句だったということになる。
前提条件(真似できない部分)
発信が本業じゃないこと。
自分の職業を10位に入れて「疑え」と言えるのは、疑われて発信が縮んでも本体が痛まないから。発信で食べている人が同じことを言うのは、構造的にかなり難しい。
だから、この回の「自分を並べる」という形をそのまま真似しても意味がない。真似すべきなのは形ではなく、自分の側の利益がどこから来ているかを先に言うという一点だと思う。
俺が持ち帰ったもの
抽象語が出てきたら、そこが値段の上がるポイント。
固定費の連載でずっと書いてきたことと、まったく同じ形をしていた。保険も、サブスクも、車の追加装備も、上げにくるときは必ず「安心」「万が一」「今だけ」で来る。数字では来ない。数字で言うと高く見えるから。
もうひとつ持ち帰ったのは、批判の作法のほう。
10個の職業を並べておいて、誰も悪者になっていない。悪者になっているのは全部「構造」で、最後に自分もその構造の中に立っている。
言いにくいことを言うときに、自分だけ外に立たない。 これは真似する。
次回
【成功例解体】は続きます。次はHormoziあたり。全部見たうえで書ける人からやります。
※【成功例解体】は全10本で完結しました。9人ぶんをまとめて、残った見分け方は1つだけでした:発信者を9人まとめて解体して、見分け方は1つしか残らなかった
